「人と企業をつなぐ仕事に挑戦したいけれど、人材派遣営業の『きつい』『やばい』という噂が気になる……」
「未経験からでも本当にやっていけるのか、応募する前に実態を知りたい」
このように悩んでいませんか?人材派遣の営業は、関わる人が多いぶん特有の大変さがあり、事前の覚悟なしに飛び込むとギャップに苦しむ職種です。
しかし、事前に「きつさの正体」と「対処法」を知っておけば安心です。
この記事では、人材派遣営業歴6年の筆者が実体験をもとに、きつい理由や年収、キャリアパスなどを解説します。
この記事を最後まで読めば、人材派遣営業のきつい実態を知り、応募すべきか判断がつくようになるでしょう。
【この記事の3行要約】
- 人材派遣営業のきつい理由には「板挟みのつらさ」や「商材が『人』である難しさ」などがある
- 向いてる人は、「感情移入しすぎず冷静でいられる」や「マルチタスクや調整が得意」などの特徴がある
- 人材派遣営業での経験は、「他業界の法人営業」や「企業の人事職」などのキャリアパスに繋げやすい
人材派遣営業が「きつい」と言われる7つの理由と乗り越え方

人材派遣営業の「きつい」と感じやすい場面を知っておけば、応募の判断材料になります。
ここでは6年間の現場経験をもとに、よくある「きつさ」と対処法を1つずつ紹介します。
- 板挟みの構造的なつらさ
- 無断欠勤・スタッフ相談のしんどさ
- 成果が「人」に依存する難しさ
- クレーム対応のつらさ
- ノルマ・飛び込み営業のきつさ
- スタッフ管理+新規営業の業務量の多さ
- 人材マッチング業務のむずかしさ
①板挟みの構造的なつらさ
人材派遣営業は、派遣先企業と派遣スタッフという、立場の異なる2者の間に立つ仕事です。
双方の希望がぶつかったとき、間に立って調整するつらさがあります。どちらも100%納得する解決法はほとんどありません。
お互いのすれ違いを防ぐため、契約前に「企業の募集背景」や「スタッフの稼働事情」を開示できる範囲で共有しておきましょう。
事前に互いの背景が分かっていれば、問題が起きたときも折衷案を受け入れてもらいやすくなります。
②無断欠勤・スタッフ相談のしんどさ
スタッフが急に連絡なく休んだ場合、営業は自分の休日であっても対応に追われます。これも、人材派遣営業ならではのしんどさでしょう。
筆者も、旅行中にスタッフが無断欠勤をし、派遣先から大きなクレームに発展した経験があります。
こうした事案はおおよそ3〜6ヶ月に1回のペースで発生しがちです。
連絡が取れない事態を完全に防ぐのは困難です。
日頃から1対1で話せる関係をつくっておけば、急な相談も早めに拾えます。
③成果が「人」に依存する難しさ
人材派遣営業の商材は「人」です。自分の努力だけでは結果をコントロールできない難しさがあります。
たとえば、条件に合うスタッフが見つかり就業まで話が進んでも、本人の都合で直前に辞退されることがあります。
登録スタッフの多くは他の派遣会社にも登録しているため、最終的に他社を選んでしまうケースも多いです。
人材ビジネスにおいて不確実性をなくすことはできません。
企業にもスタッフにも「必ず決まる」とは約束せず、最善を尽くす姿勢を伝えながら期待値を調整しましょう。
④クレーム対応のつらさ
人材派遣営業は関わる人物が多いため、日常的にクレームを受ける場面が必然的に多くなります。
ときにはパワハラやセクハラなど、重めのトラブルに発展する場合もあります。
実際の現場では、スタッフから「職場の人間関係がつらくてメンタル不調になった。なぜ事前に教えてくれなかったのか」と詰め寄られるケースもあります。
深刻なクレームを一人で抱え込む必要はありません。事実と主観を切り分けて整理し、早めに上司やチームへ共有して負担を分散させましょう。
⑤ノルマ・飛び込み営業のきつさ
新規開拓のノルマも、人材派遣営業がきついとされる理由の1つです。未経験で入社すると、まず飛び込み営業から任されるケースが一般的です。
会社によっては、1日20〜50件などの飛び込み訪問が目標として課される場合もあります。
何件訪問しても断られ続ける日もあり、精神的に負担を感じる人も多いです。
そもそも人材派遣は、急な人材ニーズが発生したタイミングで初めて依頼が動くビジネスです。
「新規訪問は断られることが多くて当たり前」と捉えておけば、気持ちが楽になるでしょう。
⑥スタッフ管理+新規営業の業務量の多さ
人材派遣営業がきついと言われる背景には、既存顧客のフォローと新規開拓を並行して行う、独特のマルチタスク環境があります。
実際の現場では、1人の営業担当者が70〜100人ほどの派遣スタッフを抱えながら、同時に新規営業に回るケースも少なくありません。
定期面談は1人あたり1〜3ヶ月に1回が現実的なペースであり、毎日全員の状況を細かく把握するのは物理的に困難です。
この膨大な業務量をコントロールするには、タスクの効率化と仕組み化が欠かせません。
スタッフフォローは対面にこだわらず、メールやチャットで気軽にSOSを出せる関係性を築いておくことがポイントです。
新規営業は闇雲に動くのではなく、ターゲット企業を絞ったメールアプローチなどを隙間時間に仕組み化し、限られた時間を有効に活用しましょう。
⑦人材マッチング業務のむずかしさ
派遣先の希望とスタッフの希望をすり合わせるマッチング業務には、独特のむずかしさがあります。
企業側が「即戦力で長期就業できる人」を求める一方で、スタッフ側は「まずは短期で様子を見たい」と考えているなど、双方の希望が相反するケースは少なくありません。
すべての条件が完璧に合致するマッチングは極めて稀です。
そのため、営業担当者が双方の「これだけは譲れない」という優先ニーズを正確に見極める必要があります。
優先度の低い条件をうまく交渉し、多少のズレを許容してもらうことで、結果として成約率の向上に繋がります。
人材派遣営業のおもな仕事内容

人材派遣営業の仕事は、大きく以下の3つに分けられます。
なお、大手企業では各プロセスを専任担当者で分業する傾向がありますが、中小企業では1人の営業がすべてを総合的に担当するケースが一般的です。
企業に対する「新規開拓・既存営業」
人材派遣営業の仕事は、電話や飛び込みで新規の企業にアプローチするところから始まります。
人材ニーズは業界を問わず発生するため、IT・製造・サービスなど、幅広い企業が営業対象です。
新規開拓は、とくに未経験で入社したばかりの若手や新人が任されやすい傾向にあります。
既存営業においては、定期的なフォローを通じて、競合他社に先んじて増員相談を相談してもらえる関係づくりが求められます。
求職者と企業をつなぐ「マッチング業務」
企業から依頼を受けると、登録しているスタッフの中から条件に合う人を探します。
面談だけでなく、電話やメールで仕事紹介をするケースも多く、スタッフの状況やタイミングに合わせて柔軟に対応します。
スキルや就業可能な期間を細かく確認しながら候補者を数名ピックアップしますが、条件がぴったり一致する人材が見つかるとは限りません。
企業側の希望とスタッフ側の条件をどう擦り合わせるか、ここが人材派遣営業としての腕の見せ所です。
就業後の「フォロー・労務管理」
人材派遣営業の仕事は、スタッフの派遣契約が締結し、実際の就業が始まってからが本当のスタートです。
就業後は定期的に派遣先へ足を運び、スタッフの就業状況の確認や、現場での悩み・困りごとに関する相談対応を行います。
また、数ヶ月ごとに発生する契約更新の確認や、満了に伴う終了手続きなどの労務管理も営業が主導して進めます。
人材紹介ビジネスでは「入社(決定)」がゴールとなりますが、人材派遣においては「就業継続」の維持こそが営業の大きなミッションです。
【実体験】人材派遣営業の1日のスケジュール

人材派遣営業の日常は、社内での事務作業から外回りまで多岐にわたります。
ここでは、一般的な中堅・大手派遣会社における営業担当者の「リアルな1日のタイムスケジュール」を詳しく紹介します。
| 時間 | 内容 |
| 9:00 | メールチェック・スタッフからの連絡確認・MTG |
| 10:00〜12:00 | 新規開拓の電話・飛び込み訪問 |
| 12:00〜13:00 | 昼休憩 |
| 13:00〜14:00 | 求職者の職場見学同行 |
| 14:00〜15:30 | 就業中スタッフフォロー面談・契約更新確認 |
| 15:30〜17:00 | ルート訪問営業 |
| 17:30〜19:00 | 契約書類作成・当日のマッチングノルマの追い込み |
| 19:00〜19:30 | スタッフ退勤後の相談対応(電話やチャット) |
繁忙期や突発的なトラブルが重なると、午前中から緊急対応に追われ、新規営業ができない日も少なくありません。
また、月末は目標管理やノルマ達成の締め切りに直結するため、マッチング業務や職場見学の同行を複数こなす過密スケジュールになるケースが一般的です。
人材派遣営業の年収・給与のリアル

平均年収とインセンティブ
dodaの調査※によると、人材サービス営業の平均年収は414.8万円、そのうち年間ボーナスは89.3万円です。
成果が正当に評価される企業では、以下のようなスピーディーな収入アップも目指せます。
- 4ヶ月に1回、10万〜30万円のインセンティブ支給
- 入社3年目で年収550万円以上を達成
成果次第で、早期に収入を大幅に伸ばせる仕事といえます。
※参照元:人材サービスの営業とはどんな職種?仕事内容/給料/転職事情を解説【doda職種図鑑】(2023年9月〜2024年8月調査)
大手3社の中途採用年収比較
人材業界最大手のパーソルテンプスタッフ・リクルートスタッフィング・スタッフサービスの3社について、求人情報をもとに年収をまとめました。
| 企業 | 募集職種名 | 雇用形態 | 年収目安 |
| パーソルテンプスタッフ | 人材コンサルティング営業 | 正社員 | 480万〜575万円 |
| リクルートスタッフィング | 人材派遣営業 | 契約社員(正社員登用制度あり) | 460万円〜 |
| スタッフサービス | 人材派遣営業 | 正社員(勤務地限定) | 423万円〜 |
参照元:各社doda|パーソルテンプスタッフ/リクルートスタッフィング/スタッフサービス(2026年7月1日時点の東京エリア)
上記の3社とも業界未経験歓迎で、販売・接客・サービス業の経験が評価されやすい求人です。
リクルートスタッフィングは契約社員スタートの募集です。ただし、最短1年で正社員登用された実績もあります。
営業未経験からでも、年収400万円台を目指しやすい環境といえるでしょう。
※求人内容は随時変更されます。最新情報は必ず各社の公式サイトよりご確認ください。
人材派遣営業に向いている人/向いていない人

中途入社後すぐに辞めてしまう人と、入社直後から頭角を現して活躍する人には、それぞれ共通の特徴があります。
営業や採用経験から見えてきたリアルな視点で解説します。
向いている人
人材派遣営業に向いている人・入社後すぐに活躍する人には、以下の3つの共通点があります。
- 感情移入しすぎず、冷静に状況を整理できる
- マルチタスクをこなせる・調整力がある
- 人の成長や変化を見るのが好き
感情移入しすぎないタイプは、板挟みやクレームの場面でも消耗しにくいでしょう。
マルチタスクや調整が得意な人は、スタッフ管理と新規営業を並行してこなす業務量の多さをそつなくこなしています。
人の変化を見るのが好きな人は、スタッフの成長を間近で感じられるこの仕事のやりがいを、自然と原動力にできるはずです。
実際にどんな瞬間にやりがいを感じるのかは、「人材派遣営業は楽しい?向いてるか不安・・【営業・人事経験のある私が本音で語ります】」で現場のリアルを紹介しています。
向いていない人
一方で、以下のような傾向がある人は、人材派遣営業にきつさを感じやすい可能性があります。
- 他者の感情を引きずりやすい
- 成果を自分でコントロールしたい
- 突発的な対応が苦手
他者の感情を引きずりやすい人は、板挟みやクレーム対応が続くと消耗しやすくなります。
成果を自分でコントロールしたい人にとっては、相手の意思決定に左右される人材ビジネスはストレスになりやすいでしょう。
また、突発的な対応が苦手な人は、休日の緊急連絡や無断欠勤対応が続くことで、オンオフの切り替えが難しくなる場面が多くあります。
向いていないと感じた場合は、無理に続けるよりも次のキャリアを検討する方が建設的です。
次の章では、人材派遣営業を経験した後のキャリアパスを紹介します。
人材派遣営業を経験した後のキャリアパス・転職先

人材派遣営業の経験は、幅広いキャリアに活かせます。
ここでは、実際に周囲で見てきた転職先やキャリアの選択肢を紹介します。
社内でのキャリアアップ(リーダー・管理職・人事など)
成果を出した営業担当者がまず目指すのが、チームリーダーや支店長などの管理職です。
営業実績だけでなく、スタッフや企業との調整経験がそのままマネジメントに活かせます。
採用人事への社内異動も選択肢の1つです。
現場を知っているため、求職者からの質問にリアルな視点で答えられたり、仕事の魅力をより具体的に伝えられたりする強みを持てます。
人材業界内でのRA/CAなど
人材派遣で培ったヒアリング力・調整力は、人材紹介のリクルーティングアドバイザー(RA)やキャリアアドバイザー(CA)でも直接活かせます。
人材派遣はスキルと条件をベースに比較的短いサイクルでマッチングを進めます。
対して、人材紹介は求職者の適性・性格・キャリアプランまで深く寄り添ったうえで正社員採用につなげる仕事です。
より人の人生に深く関わるマッチングに挑戦したい人なら、人材紹介会社への転職は魅力的な選択肢になるはずです。
他業界の法人営業
人材派遣営業は法人営業の経験が積めるため、不動産・広告・金融・IT/Web業界などへの転職実績も多くあります。
無形商材の営業経験と、多様な業界の担当者と接してきた知見は、他業界でも十分な強みになります。
企業の人事・派遣窓口など
派遣会社の営業経験者が転職先として多いのが、企業の人事部門です。
とくに派遣スタッフの受け入れ窓口担当は、派遣会社とのやり取りの経験がそのまま活きるポジションです。
派遣会社側の動き方を知っているぶん、専門用語や複雑なスタッフ管理業務などもスムーズに貢献できるでしょう。
人材派遣営業がきついのか気になる方のよくある質問

最後に、人材派遣営業について気になる方が抱きやすい質問を紹介します。
- 人材派遣の退職率は?
- 人材派遣でやばい会社の特徴は?
- 人材派遣営業は未経験でも転職できる?
人材派遣の退職率は?
厚生労働省「令和5年雇用動向調査」によると、人材派遣業が含まれる「サービス業(他に分類されないもの)」の離職率は19.3%です。
全産業の合計(12.1%)と比較しても高い水準にあります。

出典:厚生労働省|令和5年雇用動向調査結果の概要(2 産業別の入職と離職)
人材派遣業に限定した公式データは公表されていませんが、板挟みや業務量の多さから、離職率が高くなりやすい職種とされています。
人材派遣でやばい会社の特徴は?
特定の企業名は挙げられませんが、以下の特徴がある会社は注意が必要です。
- 離職率を公開していない、もしくは極端に高い
- 面接官の態度が高圧的、または説明が曖昧
- 口コミサイトでノルマや長時間労働に関する投稿が多い
- 募集が常時掲載されており、採用人数の説明がない
これらの特徴がある会社は、慢性的な人手不足に陥っているか、労働環境に問題を抱えている懸念があります。
入社前にOpenWorkや転職会議などの口コミサイトで、働いていた社員の声を確認しておくと良いでしょう。
人材派遣営業は未経験でも転職できる?
未経験からでも十分に転職可能です。実際に大手派遣会社をはじめとする多くの企業において、「業界未経験歓迎」の求人が大半を占めています。
業界の専門知識よりも、愚直に足を運べる「行動力」や、立場の異なる相手の間に入って調整する「柔軟性」が重視される傾向にあります。
なお、向いている人の特徴でも解説していますが、業界経験よりも「感情移入しすぎない」「マルチタスクをこなせる」「人の成長を見るのが好き」という素養の方が、活躍できるかどうかの判断基準になるでしょう。
まとめ:人材派遣営業はきついことも多い。ただ、マッチングや成長を見られるやりがいのある仕事

この記事では、人材派遣営業がきついとされる具体的な理由と、それぞれの壁を乗り越えるための実効的なアプローチを解説しました。
板挟みの環境、突発的なクレーム対応、そしてマルチタスクによる業務量の多さなど、この仕事特有の厳しさは確かに存在します。
一方で、人材派遣営業は「マッチング業務の奥深さ」や「人の成長や介在価値を間近で見届けられる」という、他にはない大きなやりがいを秘めた仕事です。
きつさの正体と対策をあらかじめ正しく把握しておくだけでも、入社後のミスマッチやギャップは大幅に軽減できます。

